女性特有の気持ちのゆらぎからいつもの自分を取り戻す、セルフケアドリンク開発への道。

女性特有の気持ちのゆらぎからいつもの自分を取り戻す、セルフケアドリンク開発への道。

女性のセルフケアドリンク 2024年サントリー食品インターナショナル株式会社は、人に言いづらい心身の不調や悩みを抱える若者に向けて、身近な飲料を通じ、心と体の両面からサポートする「menphys(メンフィス)プロジェクト」を立ち上げた。
第一弾商品は、男性としての自信を取り戻すドリンク「menphys GABA&アルギニン&亜鉛」、女性特有のイライラ期を明るく前向きに変えるドリンク「menphys GABA&大豆イソフラボン&鉄分」。どちらの商品も開発を進めるメンバーはブランドマーケティング本部の若手社員。なぜサントリーが取り組むのか、どのように開発が進んだのか、そして人に言いづらい悩みにまつわる商品をリリースする難しさなど、現場社員に等身大の言葉で語ってもらった。

新しいモノ好きで、おせっかい。そんな性格が開発に生きた。

──「GREEN DA・KA・RA」や「ZONe(ゾーン)ENERGY」の展開品などを開発されてきた、佐藤和夢(サトウカズム)さん。「セルフケアドリンク」という新領域の商品開発プロジェクトに携わることとなったきっかけを聞かせてください。

 2年前くらいに社内でアイデアコンペがあり、そこで『女性特有の気持ちのゆらぎに悩んでいる人は多いが、それをサポートする商品はまだまだ少ない。ニーズは大きいのでは』というアイデアが数件出てきました。私自身は、特に悩みを抱えておらず(※当時は自覚がなかった)、アイデアを出したわけではないですが、開発チームリーダーの推薦で参加することになりました。 

──ご自身は悩まれていなかったとのことですが、チームに参加した理由は何だったのでしょうか。

 もともと性格的に、今ないものをつくりたいと思うタイプ。自分が考えたアイデアでなくても、新たに誰かの気持ちを救えるチャンスがあるのなら、参加したいと思いました。そして、実際、女性特有の悩みについて勉強を重ねていくにつれ、過去に自分自身も、人に当たってしまったり、小さいことが気になって落ち込んでしまったり・・いつもの自分らしくない時があったことを思い出したんです。それは私だけではなく、女性特有の悩みであったのだと気づき、もっと早く知っておけばよかったと思いました。同じ会社の後輩からも、ゆらぎのタイミングになると気持ちの波が頻繁におとずれて非常に辛く、泣いてしまうこともあるという話を聞き、どうにかしてあげたいと思いました。 

悩みを歴史から学び、飲料メーカーにできることを知る。

──女性特有の悩みについてチームで話し、学び、商品の必要性を感じた。チームは、まずどんなことから始めたのでしょうか?

開発として走り出すかどうかの承認を上層部へ取る必要があり、まずプレゼンをしました。最初のプレゼンで、女性は本当に頻繁なペースで、悩みを抱えながら仕事をしており、我々もそうであるという話をしました。さらに海外では、日本では処方箋がないと手に入らないような対処法や、ハーブなどが配合された昔ながらの対策商品がコンビニなど身近で簡単に入手できる。しかし、日本は対処すること自体にハードルがあり、解決できていないことが多いことも説明しました。その際、深い課題であるということと、目のつけどころや市場のポテンシャルが評価され、幹部層に刺さったと感じました。
しかし、その一方で、『これだけ悩んでいる人が多いのに、なぜ商品が少ないのか。そこは今後の大きな課題になるだろう』と指摘され、『何か背景があると思われるので、女性特有の悩みに関して3時間ぐらい語れるようになるまで勉強してきてほしい』と言われました。そこから、この分野に関する歴史を平安時代まで遡り、勉強しました。

──勉強というと具体的にどんなことを?そして何がわかったんですか?

開発チームメンバーで本を読みあさり、調べまくるという、地道な作業でした。これまで通説として言われていたのが、女性特有の気持ちの落ち込みは、明確な原因が医学的にもわかっていない、ということ。ホルモンバランスの乱れだろうと。だから、明確で適切な機能を謳える商品がほとんどなかったのだと思います。
そこに対して我々は、勉強を重ねていくことで、ハードルの高い対処法に行きつく前段階でも、毎日のストレスを減らし、きちんと基礎栄養を摂取し、自分のコンディションを整えることで不調を軽減できる可能性があるのではないかと考え始めました。このアプローチなら食品会社の我々にも何かできるかもしれないと感じ、そこから商品開発の中味をつくる部署で検討を始めました。

メンタルとフィジカルの両方からアプローチする「menphys」。

メンタルとフィジカルのアプローチ  

──飲料メーカーならではの、女性の悩みをケアする商品が作れる!となったのですね。ついに本題です。そこで生まれたブランドについて教えてください。 

「menphys(メンフィス)」と言います。女性特有の悩みに対してだけではなく、若者の人に言いづらい心と体の悩みの全体をサポートするブランドです。今、若者をみると、欠食や過度なダイエットをしたり、プライベートも仕事もどちらも忙しく充実させたいがゆえに、睡眠時間が少なくなっていたりと、現代特有の環境変化が起きています。そういった現代の若者ならではの心と体を考え、そこからくる悩みに寄り添っていく、そういった気持ちを込めて、“メンタル+フィジカル”の造語で「menphys」というブランド名にしました。

──女性特有のイライラ期を明るく前向きに変えるドリンク「menphys GABA&大豆イソフラボン&鉄分」。競合でも同じような商品がどんどん出てきていますが、他と異なる点は何でしょうか。

調査をしていると、体から出ていってしまった栄養素を補うために、とりあえず鉄を取っている人が多い。しかし、鉄だけでは解決できない。「menphys GABA&大豆イソフラボン&鉄分」が他商品と異なる部分は、鉄以外の女性に必要な基礎栄養素が入っていることと、メンタルもサポートすることです。これまでにあまりないものだと思います。

──メンタルとフィジカル、両方からのアプローチは画期的に感じます。ただ、この領域に、サントリーが参入する意義って何でしょう?

個人的な感覚ではありますが、女性特有のこの悩みによって日々諦めてしまっていることがあると思うんです。もっと仕事を頑張りたい、おいしいごはんが食べたい、好きなことに時間を費やしたいといった気持ちを、こんなに長い日数にわたりこれらを我慢しているというのは、放っておいてはいけない問題だと思いました。
サントリーには、「人間の生命(いのち)の輝きをめざす」という社是がありますが、この課題解決は、まさにそう謳う我々だからこそ、取り組む意義があると思っています。頻繁に付き合わなければならない悩みに対して、生活に身近な清涼飲料水・食品を提供しているサントリーが、日常で隣に寄り添うくらいのサポートを行う。それは、とてもサントリーらしいかたちだと思います。

「menphys(メンフィス)」のこれまでと、これから。

  menphysインタビュー画像3

──飲料会社が、若者の人に言いづらい心と体の悩みに関する新領域に参入するとなると、商品開発を進める上で困難もあったと思います。どんなことがありましたか?

上層部には、なかなか理解しがたい、というような雰囲気がありました。とりあえず進めるのはいいが、最終判断は後回しになっている印象があり、説得するためにとにかく知識を増やし、1対1のインタビュー調査でお客様のリアルな声を集めました。100人以上と直接お話しして得た、困っている声をリアルに届けたことで、今すぐ動くべき大きな課題だということを、やっと納得してもらえました。また、顧問である上司がこの商品開発を信じてくれていたことも、励みになっています。 

──そんな難しい商品を開発する、佐藤さんのモチベーションは何でしょうか。

一番どうにかしたいと思ったのは、『普段通りの生活を諦めている人がいる』ということ。また、私は自分の不調が女性特有のものが原因だと知ったことで、気持ちが楽になったので、早く知っておけばよかったという気持ちがあります。我慢することは当たり前ではない、いつもの自分を取り戻せるセルフケアがある、ということを伝え、解決していきたいです。 

飲料を通して、若者の人に言いづらい心と体の悩みごとに寄りそう。
サントリーの新規プロジェクトは、ひとりの女性の熱い思い、そして彼女に賛同する人々によって進められていました。「menphys(メンフィス)」にぜひご期待ください。